不動産売買の実務的注意点と法律知識(法令リンク集)

売買不動産の種類別注意点売買不動産の適正価格とは住宅ローンの審査について売買不動産の基本調査事項
売買当事者の各種条件買主の各種条件瑕疵のない完全な所有権の移転確認諸経費の計算
売買取引期日(決済日)の注意点売買取引後の確認事項

このページは不動産売買実務の長期経験者によって編集されています <ワシダ不動産>

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項 目 売買不動産の種類別注意点
宅 地 境界について特に注意が必要な地域は、過去に区画整理が行われたけれども、何十年も経過するうちに区画整理で打たれた杭は消えてしまい、時の経過とともに街区や区画がすこしずつずれてしまった地域です。このような地域の物件は、無理に境界をはっきりさせようとすると、建物がはみ出したりして、取得時効(民法162条や権利の乱用民法第1条などの問題の絡む境界確定訴訟に発展しかねないので、状況に応じて適切な判断が必要になります。
農 地 農地の権利移動や転用は、農地法によって制限農地法第3条・第4条・第5条されています。したがって農地転用の許可が必要になります。
土地区画整理地 区画整理の事業が完了したならば、土地区画整理事業費用の徴収交付土地区画整理法第110条をして清算が行われます。売買契約時に、この清算金を誰が負担するのかを特約で明確にしておかないと、事業完了時に争いになってしまいます。換地処分までにかなりの期間がある場合などは、仮換地状態で取引をすることになり、換地処分後に面積が変わることも多々ありますので、その差額を、相当単価にて清算する特約を付けることもあります。保留地の売買は、代金受け渡し後に登記義務や清算義務が残るため、公正証書を作成して、後日の証としているのが実情であります。
開発分譲地 開発行為都市計画法第29条を伴うような分譲地には、事業主が諸経費について独自の約款を定めているところもありますが、一般的なライフライン引き込み費用には、上下水道の負担金や排水路の負担金などがあり、事業主にとって土地の造成費用とは別途の支出となるため、売買代金とは別に支払いを求める場合が多いのです。
借 地 平成4年7月31日までに設定された借地権は旧法借地権になり、平成4年8月1日以降は新法である「借地借家法」が適用になります。旧法と新法では借地権の存続期間や更新後の期間が違います。借地権を譲渡するためには地主の承諾民法第612条が必要になりますが、地主が承諾してくれない場合には裁判所が許可をしてくれる制度借地借家法第19条があります。
 リゾート用地  自然公園の指定区域自然公園法では、地域の自然環境の実情に応じて、どのような保護や利用を行うか計画するため、「公園計画」を策定しています。
中古住宅 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主は事実を知った時から1年以内であれば契約の解除または損害賠償の請求民法第570条ができます。住宅であれば表面に現れていないシロアリ被害や雨漏りなどがこれに該当します。
 建売住宅   新築住宅の売主は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、住宅の主要構造部分の瑕疵について、10年間の瑕疵担保責任を負うこととされていますが、売主が瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合のために住宅瑕疵担保履行法があります。買主は保険金や供託金によって、損害が保護されます。 
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  売買不動産の適正価格とは
適正評価 昭和前期から中期には不動産価格は右肩上がりで値下がりのない安全な財産として評価されていましたが、昭和の後期に大暴騰し、平成に入ってからの地方は下がり続けています。地方はいつ値上がりするのか予想ができない時代です。このような状況で適正な価格とは何かは難しいのですが、やはり基本に従うしかないと考えると、売買事例や公示価格や税務署の財産評価基準書を基本に計算した価格に対して、需要があればそれは適正価格であるといえるでしょう。
消費税 土地の売買は消費税法第6条により非課税となっています。建物の売買には消費税が課税されますが広告などは総額表示が義務付けられているので消費者には消費税額が分かりにくいのです。売買契約書で土地価格と建物価格を分けてもらえば物件の消費税額がはっきりします。
減額要素 減額要素は数えると沢山あるのですが、どうしようもないこともあるのです。
1.昔は沼や池だったような地盤の弱い土地は建物が傾いてしまいます。
2.昔は墓場だったり、自殺があったりしたところは霊が心配です。
3.過去に工場が建っていた所は体によくないものが土中にある可能性大です。
4.水はけの悪い土地はどうしても湿気が溜まります。
5.構造的欠陥のある家はかならず時の経過とともに歪んできます。
6.海が近いところの家は、風で塩が運ばれて塩害があります。
7.所有者が変わっても悪いことが続く家は、どこかに欠陥があるといえます。
8.風水は理に適っていて、風の通り道や水の治め方が悪いと家に悪いのです。
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住宅ローンの審査について
所得証明 銀行が資金を貸付するときには、回収できるのかを判断する材料として、公的な所得証明から借入可能額を計算します。自営業者の方は所得を隠さずにまじめに申告しておく必要があります。
返済負担 住宅ローンの返済限度借入額として、年収の5倍以内がひとつの目安とされています。住宅ローンシュミレーションを使うと便利です。
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  売買不動産の基本調査事項
登記簿  不動産取引を安全に円滑にして国民の権利の保全を図るために、不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度を定めた不動産登記法によって、物件の詳細(面積・種類・築年数等)や権利義務を、法務局で閲覧したり謄本の交付を受けることが出来ます。しかし、登記簿謄本に記載されていない権利が存在する可能性も否定できません。
売買基準面積  土地売買において基準となる面積には登記簿面積と実測面積とがあります。登記簿面積は登記簿謄本に面積が記載されているので分かりやすいのですが、実測面積となると専門家による測量の必要があります。専門家とは土地家屋調査士測量士になり、土地のどこをを基点として測量するかが問題となります。すべての隣接地権者との間で合意のある境界点があれば実測面積として基準にできるのですが、1点でも隣接地権者の合意点がない場合は、登記簿面積を基準として売買するほうが無難です。
用地買収 宅地建物取引主任者には、道路や公園や学校等の公共事業のための用地買収が予定されている物件については必ず重要事項として契約締結前に買主に説明をする義務があります。下記に記載した省庁は調査先です。
福井県土木部都市計画課新幹線建設推進課福井市都市戦略部
建築確認 再建築できない土地は、宅地としての利用価値がありません。しかし街中には公道に面していないため再建築できない宅地(建築基準法第43条)がいくつも存在しています。何らかの事情があってそのような状況になったのでしょうが、役所は建築を許可してくれません。なお、袋地でも袋地通行権(民法第210条〜213条)はあります。
線引制限 都市計画法で定められた都市計画区域では、市街化を図るべき市街化区域と、市街化を抑制すべき市街化調整区域等があり、市街化調整区域での建築許可は厳しく制限されています。都市計画法上の用途地域に従って、各自治体が建ぺい率と容積率を定めています。 建築基準法では用途地域や接面道路等によって、さらに細かく建築を制限されています。
付帯設備 不動産とは民法第86条では土地及びその定着物は不動産とするとなっており、民法第87条では物の所有者がその物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに付属させたときは、その付属させたものは従物となり、従物は、主物の処分に従うとされています。さらに民法242条では、不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得するとしていますが、権限によってその物を附属させた他人の権利を妨げないともなっています。たとえば襖や障子や畳や未登記の立木などは動産ですが、これらは不動産に付属する従物であり、建物とは別に扱うとする特約や他人の権利がないのであれば、建物所有権の移転の効果を受けるのです。実務では付帯設備表によって、付帯設備品が売買代金に含まれるのか、それとも撤去するのかを明確にします。家電品(冷暖房機器等)は、引渡し直後に壊れたときの責任の問題が残るので、なるべく引き継がない方がよいようです。平成21年4月1日からは、消費生活用製品安全法によって特定保守製品については宅建業者に一定の説明義務が課せられています。
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  売買当事者の各種条件
履行の着手 契約時に通常支払われる手付金は民法557条に規定する解約手付であり、手付放棄(買主)・手付倍返し(売主)で当事者はお互いに損害賠償を請求されずに契約を解除できるのですが、これは当事者の一方が契約の履行に着手する前までであります。買主が中間金や内金を支払ったり、売主が物件の一部を引渡したりして、契約の履行に着手した後に契約を解除した場合には、損害賠償を請求されます。履行の着手とは、客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合であります。
中間金保全 宅建業者でない売主が何らかの事情によって多額の中間金や内金の支払いを契約条件とする場合の買主の対応としては、その支払いと引き換えに所有権移転登記や同仮登記の取得を要求し、民法第177条によって第三者に対抗できるようにしておくべきです。
損害賠償金 債務を履行しない当事者が支払う金銭をあらかじめ取り決めるには、違約金と損害賠償の予定とがあります。実際には損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるのが違約金であり、実際の損害額が予定された賠償額よりも少ない場合であっても予定された賠償額を支払う責任が生ずるのが損害賠償の予定となります。当事者は損害額の立証をせずに損害賠償の請求ができ、民法第420条により、裁判所はその額を増減することができないことになっています。しかし民法第420条3項で違約金は賠償額の予定と推定されており、実際の売買契約においても違約金と損害賠償の予定とは同じ意味で使用してることが多いのです。なお、宅建業者が売主の場合には、宅地建物取引業法第38条で違約金と損害賠償の予定との合計額は、売買代金の2割を超えてはならないと定められています。
停止条件 特定の事実(条件)が成就しない場合には、契約の効力が生じないことを停止条件付契約といいます。停止条件が成就した場合の効果としては、民法第127条に規定されています。例えば、地主の承諾と借地権付建物の売買契約・別途新築建物の完成と現居宅の売買契約・土地の一部の売買契約と残地の売買契約の関係等が停止条件付契約となる場合があります。
代理人 売主が代理人の場合に注意することは、代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対してその効力を生じないことが、民法第113条で規定されていますので、代理人が売主本人から代理権を授与されているのかを買主は確認した方が安全ですが、売主本人が代理人と名乗る者に代理権を与えた旨を表示した場合は、買主が善意無過失であれば、代理人と名乗る者がした行為について、売主本人が責任を負うことになることは、代理権授与の表示による表見代理として民法第109条に規定されています。なお、代理人が代理行為を行うには、顕名が必要とされています。
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  買主の各種条件
ローン特約 住宅ローン融資の不成立を解除条件とした契約を、解除条件付契約といいます。これは民法127条2項に規定する解除条件付法律行為になります。
前金保全 宅地建物取引業法では、宅建業者が売主の場合には、宅地建物取引業法第41条・第41条の2によって、手付金等(内金・中間金等)の額が一定額を超えた場合の保全規定がありますが、売主が宅建業者でない場合には保全措置は不要となっています。
完全な所有権 物を支配する力には、占有権、所有権、制限物権があります。占有権とは、物を事実上支配する状態そのものを法律要件として生ずる物権であり、所有権とは、物を最も完全かつ全面的に支配する物権であります。 制限物権とは、特定の目的のためだけに認められる、その物を使用収益できる権利であり、用益物権(地上権や地役権等)と担保物権(抵当権や質権)に分けることができます。つまり買主が求める物は、他人(第3者)が占有していなくて、買主には関係のない人の権利義務や債権債務が存在しないことであり、このことを称して完全な所有権とと言われています。物権や債権については、民法の第2編と第3編に詳しく規定されています。なお、不動産に関する物権の得喪変更(物権変動)を第三者に対抗するためには、不動産登記(権利に関する登記)をする必要があります(民法177条)。例えば、不動産を購入した者は売買契約によって所有権を取得(民法176条。意思主義)しますが、その登記を怠ると第三者に所有権を主張できないという不利益(場合によっては所有権を失うこともある)を受けます。
  瑕疵のない完全な所有権の移転確認
共有物分割 共有物分割とは、あるひとつの不動産を2人以上で共有している場合において、その共有状態を解消することであり、 例えば、一筆の土地の場合には、まず各共有者の所有面積に応じて分筆をし、分筆後も共有になっているために、単独所有にするための持分全部移転登記をして、共有物の分割を完了します。民法第256条では、各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できることになっており、共有者間で分割についての協議が調わないときには、民法第258条に基づいて、その分割を裁判所に請求できるのですが、現物を分割することができないときや、分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命じることができることになっています。
表示登記 不動産登記簿の表題部になされる登記が表示登記であり、建物を新築した場合には1ヶ月以内に建物の所在・種類・構造・床面積等の情報を登録するために不動産登記法第47条に基づき建物表題登記を行わなければならないのですが、昔の建物や増築部分などが未登記になっている建物が多いのが現実であります。市町村役場は固定資産課税台帳(名寄帳)作成のために常に現地調査を行っており、不動産登記簿に記載されていない建物でも名寄帳には記載されていることが多く、その固定資産評価証明書と上申書にて所有権証明書にできるので、売買の取引期日までに、売主は土地家屋調査士に依頼して建物表題登記を完了しておくべきです。
滅失登記 建物を取り壊したときには1ヶ月以内に当該建物の滅失の登記を、不動産登記法第57条に基づいて申請しなければならないのですが、建物滅失登記が行われないままになっていて、建物の登記簿が閉鎖されずに残っていることが多々あります。現実には建物が存在しないのですから、権利を主張されることはないと思われますが、売主に売主の費用で建物滅失登記をしてもらったほうが安心です。
相続登記 登記名義人が亡くなられていて、相続登記がまだ行われていない物件の場合は、売主が特定できない状態であるといえます。遺産分割協議で話し合いがまとまらないことも予想されるからです。被相続人の出生時から死亡までの原戸籍・除籍・戸籍謄本等を取り寄せたならば、相続人となれる新たな人がいることが、初めて分かり、その方の合意が必要になることもあるので、本来ならば相続登記が完了してから売買契約をするべきなのですが、どうしても契約しておかなければならない事情があるのであれば、遺産分割協議の不調を解除条件とした解除条件付契約としておくべきであります。民法としての相続は、総則・物権・債権・親族に続く、民法第5編に詳しく規定されています。
仮差押登記 仮差押は民事保全法に定める保全命令です。債権者が金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制限を加えるための裁判所の決定である仮差押は、仮差押登記の後の登記権利者は仮差押登記権利者に対抗できないため、売買契約の前に必ず仮差押登記権利者に対して、いくら支払えば取り下げが可能なのかを確認する必要があります。
税金滞納 国税や地方税を滞納すると国税徴収法により滞納処分として財産を差し押さえられ、その後は公売によって売られてしまいます。国税優先の原則や法定納期限によって他の債権に先だって徴収できる権利(国税徴収法第15,16条地方税法14条の9,10)もありますので、滞納額(納税証明書で確認)を考慮した売買代金にしなければなりません。
予約・特約 将来の売買が、あらかじめ約束されている物件があります。民法第556条には売買の一方の予約という規定があり、民法第579条には買戻しの特約という規定があります。売買の一方の予約というのは、通常、将来の売買契約で買主となる者が予約完結権を持ち、将来において、購入するという意思を表示すれば、売主の承諾を待つまでもなく、売買契約を自動的に成立させることができます。買戻しの特約というのは、売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除して、物件を取り戻すことができますが、買戻しの期間は10年を超えることができないとされており、所有権移転登記と同時に買戻特約の登記をしないと、第3者に対抗できないとされています。 
設定順位 不動産に設定されている権利には順位があり、任意に売却するときには先順位の権利者だけが承諾しても後順位の権利者が承諾しないのでは、所有権の負担となる登記が残ってしまうので売買できないのですが、不動産が民事執行法に基づいて競売になってしまうような状況に変化したときには、後順位で不利(配当を受けられる順位が登記の順番によって決まっている)な権利者は、配当が受けられない可能性が高くなるため、一部返済を条件とした任意売却に承諾してくれる場合もあります。順位の例としては、保存行為が完了した後直ちに登記された不動産保存の先取特権や、工事を始める前に登記された不動産工事の先取特権は、抵当権に先立って行使することができると民法第337条〜339条に規定されており、不動産保存と不動産工事とでは不動産保存が優先することになっています。次に、登記の先後(先願主義)で順位が決まる抵当権や質権や登記した一般の先取特権になります。その次に、登記していない一般先取特権となり、最後に担保物権のない(無担保債権=つまり担保にとったものがない)一般債権者となります。また、不動産登記法第105条〜110条では、仮登記について規定されています。仮登記とは、本登記をするのに必要な手続き上の要件または実体法上の要件が完備しない場合に、将来その要件が備わったときになすべき本登記の登記簿上の順位を確保しておくためにあらかじめなされる予備的な登記のことです。
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  諸経費の計算
買主諸経費 不動産の購入者は売買代金とは別に諸経費が必要になります。主な費用としては、仲介手数料(仲介取引の場合に不動産業者に支払う))・所有権移転登記料(司法書士に支払う)・契約書印紙代(印紙税法による)・固定資産税の買主負担分(売主に支払う)等ですが、住宅ローンを利用する場合にはさらに抵当権設定費用(司法書士に支払う)・保証料(保証会社)・団信保険料や火災保険(保険会社)・融資事務手数料(銀行に支払う)等が必要になります。所有権移転登記が完了すると、県税として不動産取得税の納付書が自動的に送られてきますので、前記諸経費と共に資金計画に入れておくべきです。
売主諸経費 不動産を売却するときには、慣例として売主が負担すべき費用が必要に応じてあります。例えば、境界明示費用や分筆登記費用(土地家屋調査士に支払う)・ 表示登記費用や滅失登記費用(土地家屋調査士に支払う)・抵当権等の抹消費用や住所変更登記費用(司法書士に支払う)・契約書印紙代(印紙税法による)等です。翌年の確定申告時には、売却に対する国税(分離課税)として、譲渡所得の計算もしなければなりません。
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売買取引期日(決済日)の注意点
境界明示 不動産売買契約書には、売主に境界明示義務を負わせている条文のあるものが多いのですが、問題なのは境界の明示方法であります。近年に開発や区画整理されたところは基点が明確で、精度のよい測量図(不動産登記法第14条地図等)があるので、境界標がなくなっていても復元しやすいのですが、基点が明確でないところや、現地復元力のない図面しかないところは、根拠のある境界の明示が困難になります。根拠のある明示ができないところについての明示方法としては、売主がただ単に思っていただけの境界明示では意味がなく、隣接地権者の合意を取り付けなければなりません。難しいのは隣接地権者全員の合意取り付けです。物件や隣接地が過去に分筆登記がなされている場合や過去の合意点がある場合には、過去の合意を基準にできるのですが、いままで境界について話し合いがなかったところはまったく手掛りがありません。土地家屋調査士に依頼したり、筆界特定手続を利用する方法もありますが、費用と時間がかかり、取引期日までに間に合わなくなってしまします。したがって、すべての売買物件の売主に境界明示義務を負わせるのではなく、物件の過去と歴史と現況をよく踏まえた上で、物件ごとに適切に最善の方法を選ぶべきであります。
司法書士 司法書士は、140万円以下の法律事件の解決・法律文書の作成・不動産登記業務・商業登記業務をその業務としています。不動産売買の実務においては、司法書士は、瑕疵のない所有権を買主に移転するための準備を取引期日までに行い、取引期日当日には取引に同席をし、売主買主双方に対して本人確認をした上で必要書類の提出を求めます。所有権の負担となる登記の残らない完全な所有権を買主に移転できることの告知を司法書士より受けてから後に売買代金の受け渡しを行います。
手形決済禁止 取引期日に買主が用意する代金の金種としては、現金でもよいのですが、取引当日に紙幣を数えるのは大変手間がかかるので、よく使われているのが銀行の電信扱いの振込みや銀行が自らを支払人として振り出し、事実上銀行の保証を受ける自己宛小切手です。商人が使用している小切手(小切手法)や約束手形(手形法)は、後日に現金化されずにただの紙切れになってしまう恐れがあるので信用できません。
履行遅滞 当事者の止むを得ない事情による取引期日の変更の申し出については、長期間の延期変更でないのであれば、当事者同士の協議事項として前向きに検討して変更すべきであります。しかし、取引期日の変更の申し出に違約の疑いがあるのであれば、民法第541条の履行遅滞等による解除権(法定解除権)として、相当の期間を定めて履行の催告をした上で、定めた期間内に履行がなければ、契約の解除をすることが可能になり、違約金や損害賠償の請求をすることができます。解除権の行使に催告を要件としているのは、履行の機会を与える必要があるからですが、違約した場合は無催告で契約を解除できる(無催告解除権)という項目を契約書に入れておけば、催告しなくても解除権を行使できるので、緊急事態のときにも対応できます。あらかじめ一定の場合に解除権が発生することを特約(約定解除権)しておく方法もあります。売買契約直後に履行に着手するために、取引期日を変更されると、損害が発生することが、契約時に分かっているのであれば、取引期日を変更したときの損害賠償責任項目を、特約として契約書に入れておくべきであります。
抵当権設定 住宅ローンを貸した銀行は、融資金が弁済されないときのために、不動産に対して約定担保物権としての抵当権を設定します。抵当権の設定登記費用は借主の負担になります。銀行は、融資金の返済が延滞になって一定期間を経過した場合は、抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その売却代金を一般債権者に優先して融資金の弁済にあてることができます。買主は、抵当権が設定されていても不動産の使用収益をすることができるのですが、競売に付されて売却されると、落札人の申立てにより決定する裁判所の引渡命令によって、執行官から明け渡しを要求されます。抵当権については民法の物権のひとつとして、民法第369条〜第398条で規定されています。
固定資産税清算 固定資産税は、賦課期日である毎年1月1日現在に、土地や家屋や償却資産を所有している人に対して課税される地方税法で規定された税金ですが、役所は年の途中で行われた不動産売買の所有権移転日を基準として計算された納付書を再発行してくれませんので、当事者が日割り計算して清算しなければなりません。通常は取引期日に売買代金の受け渡しと同時に清算します。
登記名義人 所有権移転登記をした後、税務署が不動産購入資金の流れについての調査を行うことがあります。特に銀行で融資を受けずに全額自己資金で購入した場合などは要注意です。 税務署の狙いは贈与が行われていて贈与税の課税対象であるか等を調査するのです。税務調査の結果、銀行預金などの裏づけの無い人が登記名義人になっていたときは、どこからお金を手に入れたのかを追求されます。
同時履行 不動産売買は、売買代金の受渡・物件の引渡・所有権移転登記や抵当権設定等の登記手続きを同時に行うのが原則となっています。この原則のひとつでも前後を許してしまうと、許した方が不利で危険な状況となります。不動産業者は、取引期日当日までに、この原則が守られるように当事者に助言し、準備することが専門家としての役目であり、宅地建物取引業法第1条で規定されている購入者等の利益の保護と宅地建物の流通の円滑化を図ることになるのです。
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  売買取引後の確認事項
相隣関係 隣地所有者とは今後において、増改築時の隣地使用の問題・自然水流の問題・囲障設置の問題・竹木の枝や根の問題等で関係せざるをえませんので、売主により明示された境界線については、明示された境界が、隣地所有者の合意のある境界なのかを、買主自らが隣地所有者に対して確認しておいたほうが、今後の相隣関係が明確になります。この相隣関係については、民法第209条〜第238条で規定されています。
隠れた瑕疵 売買契約を締結する前に、床下のシロアリ検査と天井裏の雨漏り検査くらいはしておきたいのですが、十分にできなかったときには、引渡しを受けた直後に可能な限り隅々まで瑕疵が隠れていないかを検査すべきです。買主が知らなかったことで損害を受けた場合の売主の担保責任については、民法第561条〜第572条で、売買の効力として、建物の隠れた瑕疵以外のこともいくつか規定されています。
施設整備状況 宅地建物取引業法第35条では、飲料水・電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備状況もしくは整備の見通しとその負担について、契約の前に重要事項の一つとして取引主任者に説明させなければならないと規定されています。水道メーターや散水栓の位置・都市ガスやLPガスの配管状況・電力メーター100Vと200Vの確認・汚水と雑排水と雨水の排水経路とマスの設置状況等が、説明を受けた通りになっていて異常がないのかを、引き渡しを受けた直後に検査することをお勧めします。
節税対策 不動産に関わる税金は、不動産を譲渡した人も取得した人も保有している人にも課税されます。不動産を譲渡した人には、譲渡所得に対して所得税法地方税法に基づいて所得税と住民税を課税されますが、租税特別措置法による特例によって軽減されることがあります。不動産を取得した人は、登記するときに登録免許税法に基づいて登録免許税を課税されますが、これも租税特別措置法による特例で軽減されることがあります。登記した後には、地方税法に基づいて不動産取得税を課税されますが、これまた特例による軽減措置があり、一定の条件を満たし、取得してから一定期間以内に減額申告を行えば、減額されることがあります。不動産を保有している人に対しては、地方税法に基づいて、毎年、固定資産税や都市計画税が課税されるのですが、所有している土地が住宅用地になったときには、特例による軽減措置を受けることができます。税法は、毎年のように改正が行われており、改正内容を理解して即対応することで、税金の負担が軽くなることがあります。
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