不動産取引注意点
(売買契約)

物件別の基本的注意事項
売買契約前の基本的注意事項売買契約後と決済時の基本的注意事項
物件引受け後の基本的注意事項物件の基本的維持管理

不動産取引に関係する主な士業不動産取引に関係する主な法律
不動産売買実務知識と法律知識

 日本国憲法第29条第1項で、「財産権は、これを犯してはならない」と、財産権の不可侵性が保障されていても、財産を買い受けるときに、すでに損をしているのでは元も子もないのです。後日にそれが分かっても、売主に責任を追及することができないことも沢山あるのです。不動産物件は、地球上に同一物件が存在せず、この世でたったひとつの地の利や歴史を持っています。その独自性を持った物件で、購入目的を達成するためには、物件を表から見ただけでは分からない様々な権利義務を調査し、自分で判断しなければならないのです。知らないと損をすることばかりであり、物件選別時にそれなりの知識が必要です。残念ながら昨今の世の中は、まじめで正直者でも、民法の存在すら知らないのでは、世渡りができないのです。世の中の複雑な仕組みを常に損得に置き換えて判断していかないと大損をしてしまうのが現実です。しかし、石橋をたたきすぎるのでは、最適な物件を見過ごしてしまいますので、初めて不動産を購入する方は、利用目的を明確にして、司法・行政・税務・建築・測量などの幅広い基礎知識や実務経験を持った宅地建物取引主任者を窓口にすることをお勧めします。事例によって対応が違ってきますが、基本的な注意事項を下記に記載しました。色々な生活変化に応じてすぐに転居できる気楽な賃貸住宅生活もひとつのライフスタイルですが、地球の一部を自分だけの権利にして地に根を張った生き方を長年できた人は、財産を守れる識者でもあるのです。

物件別の基本的注意事項 

No.1 土地に境界紛争のある物件は避けたほうがよい=[宅地]
 境界紛争に巻き込まれると険悪なる相隣関係を引き継いでしまう
No.2 地目が田になっている土地は農地法の適用をうける[農地]
地目が田の場合は、農地転用許可申請が必要になる
No.3 土地区画整理事業中の物件には制限がある[土地区画整理地]
登記時期や面積が変更になったり、事業の清算金が発生する
No.4 開発分譲地は、施設負担金等が必要になる[開発分譲地]
自治会基金やライフライン引込費用等が別途必要となる場合が多い
No.5 借地権のついた物件は地主とも契約が必要である[借地]
物件の売買について、地主の同意の有無を確認すべきである
No.6 国定公園自然公園内の物件は建築制限はがある[リゾート用地]
建ペイ率や容積率が住宅地よりも強く制限されている
No.7 中古住宅には隠れた瑕疵のある物件がある[中古住宅]
住宅内部の見えないところに発生しているから発見が遅れる
No.8 新築建売住宅は、見栄えだけで買ってはいけない[建売住宅]
新築工事中にしっかりと現場管理できていたのかが問題である
 

売買契約前の基本的注意事項 

○販売価格は適正価格になっているのか?
No.1 適正な評価(価格の根拠)がなされている物件を選ぶ=[適正評価]
買ったときにすでに評価損しないように調査する
No.2 土地価格と建物価格は合理的に明示されるべきである[消費税]
 土地代には消費税が課税されないのである
No.3 評価減につながる要素がないかをよく調査する[減額要素]
ご近所の評判や近隣の環境をよく調べてみる
 
○住宅ローンの借り入れが可能で、返済していけるのか?
No.1 所得証明書が取れないと住宅ローンを貸してくれない[所得証明]
 自信のない場合は契約の前に銀行で確認する
No.2 生活に無理のかからない住宅ローンにすべきである[返済負担]
金融機関は雨が降ってきても傘は貸してくれない
 
○物件明細資料に間違いはないのか?
No.1 物件の面積や築年数を自分で確認する[登記簿]
法務局の登記簿謄本を契約前に見ておくべきである
No.2 登記簿面積売買と実測面積売買とがある[売買基準面積]
実測面積売買になると測量図が必ず必要になる
No.3 物件の一部が用地買収される予定の物件もある[用地買収]
 都市計画による道路拡幅等がないか確認する
No.4 物件は私道よりも公道に面しているほうがよい[建築確認]  
公道に2メートル以上面していないと再建築できない
No.5 建蔽率と容積率は制限されている=[線引制限]
線引区域によってそれぞれ異なっている
No.6 付帯設備が明示されているか確認する[付帯設備
何が売買代金に含まれているかを明確にすべきである
 
○売主はどのような条件をつけているのか?
No.1 手付金だけでなく中間金を必要とする売主もいる[履行の着手]
中間金の受渡しがあると契約の履行に着手したことになる
No.2 売主が多額の中間金支払を条件とする場合もある[中間金保全]
中間金の額が多い場合には所有権移転仮登記を設定する
No.3 手付金放棄だけでは契約解除ができないときもある[損害賠償金]
履行の着手後の一方的な解約は損害賠償金が発生する
No.4 特定の事実が成就したならば売買するという条件もある[停止条件]
特定の事実が成就しなかったときには売買契約は成立しない
No.5 売主が代理人をたてて契約することもある[代理人]
代理人が売主本人から代理権を授与されているのかを確かめる
 
○買主はどのような条件をつけることができるのか?
No.1 住宅ローンが借入できない時のことも考える[ローン特約]
借り入れできないときには契約を白紙に戻せる特約がある
No.2 物件の引渡前に支払う手付金や内金を保全する[前金保全]
 一定以上の前金は保全措置をとらなければならない
No.3 買主以外は誰の権利も残らないようにする[完全な所有権]
瑕疵のない完全な所有権を移転させる
 
○瑕疵のない完全な所有権を買主に移転できるのか?
No.1 土地が共有で分筆されていない物件もある[共有物分割]
売主に共有物分割登記をしてもらう
No.2 建物に未登記部分がある物件もある[表示登記]
売主に未登記部分の表示登記をしてもらう
No.3 取り壊し済みの建物がまだ登記されている場合もある[滅失登記]
売主に建物の滅失登記をしてもらう
No.4 相続の登記が済んでいない物件は要注意[相続登記]
すぐには登記出来ない場合もある
No.5 仮差押などが設定されていることがある[仮差押登記]
任意売却が可能かどうかを債権者に確認する
No.6 税金の滞納で差し押さえられている物件もある[税金滞納]
徴税吏員との打ち合わせが必要になる
No.7 予約や特約の登記があり売買しにくい物件もある[予約・特約]
 売買前に権利者の承諾が必ず必要です
No.8 抵当権や仮登記が多数設定されているものもある[設定順位]
後順位の権利者まで売買代金で満たされるかが鍵となる
 
○物件に対する諸掛り費用の清算方法は?
No.1 買主は売買代金以外にいくら必要なのかを算出する[買主諸経費]
 所有権移転登記料や取得税などの諸経費を資金計画に入れる
No.2 慣例になっている売主が負担すべき費用がある[売主諸経費]
抵当権などの抹消費用や売渡証書作成費などは売主負担が慣例である
 

売買契約後と決済時の基本的注意事項

No.1 売主に土地の境界を明示してもらう[境界明示]
 かならずしも明確にしたほうがよいとは限らない物件もある
No.2 負担のない完全な所有権移転登記であるかを確認する[司法書士]
 司法書士に聞いて納得してから買主は残代金を支払う
No.3 売主は残代金を手形で受け取ってはいけない[手形決済禁止]
 手形は現金になるとは限らないのである
No.4 取引期日の変更も当事者の協議事項である[履行遅滞]
事情にもよるが短期間の延期ならば双方受け入れるべきである
No.5 住宅ローンを借りると抵当権をつけられる[抵当権設定]
 決済時に所有権移転登記と同時に設定される
No.6 固定資産税の清算は取引期日に行われている[固定資産税清算
引渡し日を基準として清算しているのが慣例である
No.7 誰を登記名義人とすべきかをよく考える[登記名義人]
基本的に裏づけのあるお金を出した人である
No.8 引渡時期・登記時期・残金支払時期は同時である[同時履行]
同時に行わないと非常に危険である
 

物件引受け後の基本的注意事項

No.1 隣接地主に境界線の確認をすべきである[相隣関係]
引渡時に売主から引き継いだ点や線を買主自らが確認する
No.2 建物に隠れた瑕疵がないかを自分で調査する[隠れた瑕疵]
天井裏や床下などの見れるところはすべて見る
No.3 上下水道・ガス・電気設備の点検を行う[施設整備状況]
漏水・ガス漏れ・漏電の検査を行う
No.4 すぐに申告したほうが得する税金がある[節税対策]
軽減措置によって不動産取得税などが安くなる時期や物件がある
 

物件の基本的維持管理

 土地は管理しないと雑草や雑木に占領され、鎌では刈れないほど頑固な根を張られ、害虫まで発生してしまいます。建物は使用部材ごとに耐久年数が違い、古くなるにしたがってあちらこちらで支障がでてきますが、発見したときすぐに補修しないとだんだんと被害が拡大していくものです。やっかいなようですが、居住者を守るために建物は自然に対して体を張って闘っているのですから、自分の体の健康管理をするように、建物もときどき隅々まで診てあげないといけないのです。耐久年数は居住者の管理しだいで格段と違ってきます。

不動産取引に関係する主な士業

<取引全般に関係する主な士業
司法書士行政書士不動産鑑定士税理士公認会計士弁護士
ファイナンシャルプランニング技能士

<土地に関係する主な士業
土地家屋調査士測量士土地改良換地士土地区画整理士

<建物に関係する主な士業
建築士技能士施工管理技士マンション管理士
建築設備士電気工事士浄化槽管理士設備士消防設備士

不動産取引に関係する主な法律

<取引全般に関係する主な法律
民法借地借家法不動産登記法民事保全法民事執行法
商法宅地建物取引業法都市計画法都市再開発法自然公園法
集落地域整備法全国新幹線鉄道整備法割賦販売法
消費税法印紙税法登録免許税法所得税法地方税法租税特別措置法
消費者契約法個人情報の保護に関する法律消費生活用製品安全法
金融商品取引法犯罪による収益の移転防止に関する法律
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律

<土地に関係する主な法律
土地基本法国土利用計画法土地区画整理法宅地造成等規制法農地法
道路法景観法温泉法森林法海岸法港湾法砂防法
幹線道路の沿道の整備に関する法律
土地汚染対策法地すべり等防止法
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

<建物に関係する主な法律
建築基準法消防法建物の区分所有等に関する法律
住宅の品質確保の促進等に関する法律
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
長期優良住宅の普及の促進に関する法律
廃棄物の処理及び清掃に関する法律

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